小春日和
ぽかぽかと暖かな日で、
外で食事を楽しもうというのにはうってつけの日だった。
長かった帝国軍の支配も終わった今、
たくさんの人々がこの陽気を楽しんでいた。
そんな中、ルークとレイアの双子は
招待に応じるためにかつての師匠の家へと向かっていた。
フォースの世界の住人となっている師匠だが、
フォースというのは便利なものらしく、器用に必要に応じて実体化することで、
なにやら近所に暮らしているのだ。
同じくフォースの世界の住人となった父と、もちろん二人で。
ごく近所に住んでいるので、
程なく二人はベンの家へとたどり着いた。
「ベンー、いるかーい?」
ノックをしながら呼びかけるとすぐに家主が顔を出した。
「やあ、いらっしゃいルーク。レイアもよく来てくれたね。とりあえずあがってくれるかな」
そう言ってニコニコと顔を出したその人は、
どうみても老人とは呼べず、
金茶の髪と髭のその姿は青年と言ってもいいくらいだった。
しかし、透明な水色の瞳だけはそのままで、
『ベンっっ!!??』
思わずハモる双子に、
やっとベンは自分がオビ=ワンの姿であることに気が付いた。
「えっ?あっ、ご、ごめん!すぐにあの姿に・・・」
慌てるオビ=ワンをルークが制する。
「いいよ、ベン。貴方が『生きて』いたのはこの姿の時だったのでしょう?無理にベンにもどらなくてもオビ=ワンのままで。」
笑いながら言うルークに
「じゃあ、このままでいいかな?私もこの姿の方がしっくり来るんだ。」
そう照れくさそうに笑うのだった。
「しかし、ベン。あなたものすごいかわいかったんだね。」
「な、何を言うんだルークっ!」
「本当ね。思わず見とれちゃったわ。あんまりかわいくて。その柔らかそうな髭とか触ってみてもいいかしら?」
既に手を伸ばしながら聞いてくるレイアの手から逃れつつ
「こんなオジサン捕まえて、からかうのはよしてくれ」
そう頬を染めながら本気で答える姿に、
『父がダークサイドに行ったのってこの人のこの性格の所為なんじゃ・・・』
という同じ思いが二人の胸に、よぎったのだった―――。
「そういえば、今日はハン船長やチューイは来なかったのかい?」
小首をかしげて尋ねる姿にノックアウトされかけながらも、
「あの二人は、まだダースベーダーだった父に対する恐怖が抜けてないみたいだから、置いてきたわ。どうせこの分だったら貴方に骨抜きの父を見て、何が怖かったんだと、思うことになるでしょうけどね。あんな姿していても骨抜き状態だったら怖いことはないでしょうよ。」
そう少々投げやりに答えるレイアの言葉を聞いてルークはあることに気が付いた。
「そうか、レイアはフォースの住人となった父さんに会ってないんだね。」
「どこか違うの?ベンのように若返っているのかしら?母さんは美人だったって聞くけど、父が変な顔だったら笑えるわね。火傷はない状態なんだから、変でも父の生まれ持ったものよね。」
身も蓋もない言い方に加え、ニヤニヤと人の悪そうな笑みを浮かべて言うレイアに
「アナキンはかっこいいと思うぞ。私は。」
「確かにあの顔を変なんていう人はいないとおもうけど・・・」
「まあ、楽しみにしておくわ。」
「それより、今日ルーク以外が来ることをまだ、アナキンに言ってないんだ。結果としては他はレイアだけだったんだけど、言ったら出てこない気がして。あの子は意外と繊細だから。」
ため息をつきつつ言うオビ=ワンの腰に突然ぎゅっ、と腕が回された。
「意外だなんてひどいこと言いますね、マスター。」
「アナキンっ!!急に来たらびっくりするじゃないか!」
「ソーリー、マスター。それとよく来てくれたな、ルーク、レイア。言いたいこともいろいろあるだろうが、取り合えず今日はゆっくりしていてくれ。」
緩いウェーブをえがく砂色の髪に濃い青の瞳。
整いすぎるほど整った顔ににっこりと笑みをのせる。
ルークはこっそりと隣のレイアを伺ってみた。案の定、ぽかんと口を開けて父を凝視している。
無理もない。自分だって初めてベンの隣に立つ父の姿を見たときは、
『こんな顔はありなんだろうか』と思ったものだ。
息子の自分が羨望の眼差しで見れる程に父は整った容貌をしている。
顔だけではない。ジェダイらしく鍛え上げられた長身に長い手足。
こうやってオビ=ワンの姿であるべんと並んでいるのを見るととてもお似合いなことがわかる。
しかし、あのままいちゃつき続ける父と師匠の姿に、自分たちが呼ばれた本来の目的である食事には、いつ到達できるのかしらと明後日の方向に意識を飛ばしかけていたとき、
「今更、生前のことはとやかく言うつもりはないわよ。ルークに聞いた話であんたは十分償ったと思うし。だからこそ、ココにその姿でいられるんでしょうよ。ってそれはいいとして、なんなのよその顔はっ!反則じゃないっ!?知らずにいろいろ言っちゃった私が馬鹿みたいじゃない!!」
意外と早く立ち直ったレイアが父に指を突きつけていた。
そのどうみても和やかではないその姿を見て
「よかった。二人がケンカをせずに仲良くなれて。私は実はちょっと心配してたんだ。さあ、冷めてしまうからご飯にしよう。とっておきのワインもあるんだ。」
そうニコニコと言うオビ=ワンの姿にレイアもすっかり毒気をぬかれ、
みんなで庭に用意された食卓へ向かったのだった―――。
オビ=ワンの手作りの食事はとてもおいしかった。
そして双子がびっくりしたことは、父手作りのスイーツが絶品だったことだ。
しかし、オビ=ワンの幸せそうに頬張る姿を見て、あっさり疑問は解決された。
この一見なごやかな食事の間に、いじめやすい父親と奪いたいくらいにかわいいその妻、という認識がレイアの中でできあがっていくのをルークは感じ、
暖かな日差しの中、平和を存分に堪能するのだった。
なんか書いてしまったSWEP6後のお話。
レイアは強い気がします。だれよりも。
自分のへぼ小説でも二人が幸せならばいい(汗)。
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