まだオビ=ワンが幼く、母上も元気だった頃

天気の良い日に庭で遊ぶオビ=ワンを目を細めて見守る母の姿がありました。

咲き乱れる花々を摘み、熱心に花冠を編んでいたオビ=ワンは出来上がるなり、

冠を持って母上に駆け寄りました。

「はい、母上贈り物です。」

ニコニコと息を弾ませながら、冠を差し出すオビ=ワンに

母であるクワイ=ガンは、それを満面の笑みで受け取りました。

「ありがとうオビ=ワン。とてもきれいだね。でもこれはお前の方が似合うよ。」

そう言って金色の頭に載せてやります。

頭の上に載った芳しい香りに、ちょっと照れたように笑いつつも嬉しそうに

オビ=ワンはそれを受け取りました。

大好きな母親に人目を憚らず甘えられる機会などそうはないので、

小さな手で母親の膝へよじ登ると花冠を載せたまま、

水色の瞳をきらきらさせてオビ=ワンは前々から気になっていたことを尋ねました。

「ねぇ、母上。赤ちゃんとはどこから来るのですか?」

純真な瞳を好奇心でいっぱいにして尋ねてくるオビ=ワンに、クワイ=ガンの心には

イタズラ心が芽生えます。

「おや、オビ=ワンはまだ知らなかったかな?」

そう茶目っ気たっぷりに尋ねると、勢い良く首が縦に振られます。

その様子にクスリと笑うと

「本当はもっと大きくなってから教えたほうがいいんだけど、それでも知りたい?」

もったいぶるクワイ=ガンに

「もう大きくなりましたよ!」

そう言って桜色の頬を膨らませます。

とうとう堪え切れなくなったクワイ=ガンは吹き出しつつ、

まるで内緒話をするようにオビ=ワンの耳元でささやきました。

「愛し合っているもの同士が接吻をして、愛を交わすと神様が授けてくれるんだよ。」

「接吻をすれば神さまが授けてくださるのですか?」

まだ幼いオビ=ワンに愛を交わす意味は正しくは伝わらず、

しかしその意味をもとより詳しく教える気のなかったクワイ=ガンは、

その質問に大きくうなずいてやりました。

「私もそうやって生まれてきたのですね。」

深く納得している様子のオビ=ワンに、

きっとこのまま変わることなく大人になるのだろうな、

という予感めいた考えが浮かびます。

自分がそれを実行できることに抑えられない喜びがこみ上げて

思わず口の端が上がりました。

そして将来彼を愛するものに対して、軽く同情を覚えると共に

今後も責任の一端を担う気満々のため、

まだ知らぬその相手に、心の中でエールを送るクワイ=ガンなのでした―――。

 


オビ=ワンの純粋培養はこうして基盤が作られていきました。

もちろんクワイ=ガンは面白がっています。当然。

ちっちゃいオビとかかわいいだろうなぁ・・・。





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