もう、オビ=ワンはこれ以上恥ずかしいことはないであろうと、
初めての経験の疲れもあり、アナキンの腕の中でぐったりとしていました。
そして、暖かい腕に抱かれているうちに次第に睡魔が訪れてきます。
オビ=ワンが今日、いろいろと初めて体験したことは衝撃的すぎて、
思考することが億劫になたオビ=ワンは、
睡魔に抵抗することなく、眠りの世界へと身を委ねました―――。
顔に当たる朝日の眩しさに、寝返りをうとうと思ったオビ=ワンでしたが、
なにやら身動きがとれません。
無理やり顔を背けると、何やら硬くて暖かなものに、鼻がぶつかりました。
「・・・?」
不思議に思い寝ぼけ眼をゆっくりと開くと、見慣れない着物の柄が目の前に
あります。
そのまま上へ視線をずらすとそこには、朝日を浴びながらにっこりと微笑む
アナキンの顔がありました。
「っっっ!!!!」
「おはよう、オビ=ワン。よく眠れました?」
慌てて離れようとしましたが、しっかりと腕が腰に回っていて離れることができません。
「な、なんで?」
「そういうこと言われると傷つきますね。僕たち正式に夫婦になったので、朝までいっしょに
いただけなんですけど・・。
それに、あなた昨日途中で寝ちゃうんだもの。」
「と、途中!?」
「そうですよ?・・・ああ、あなたは何も知らないんでしたね。」
クスリと笑ったアナキンは
「大丈夫ですよ。ちゃんと僕が最後まできちんと責任を取って手解きしますから。」
そう言って請負いますが、
その責任という台詞に、オビ=ワンは胸がずきりと痛むのを感じます。
今まで気にする余裕がなかった三の君のことが急に気にかかりました。
「またそんなことを・・」
そう言って窘める声に、急に元気がなくなったオビ=ワンを不思議に思い、
アナキンは瞳を見て真意を探ろうとしますが、
悲しそうな気配が揺らめくだけで、理由がわかりません。
なんとか原因を知ろうとアナキンが問い詰めようとした時、
家の中が騒がしくなってきたことに気がつきました。
家の者が起き出したのです。
帰るタイミングを逸したアナキンは、再び闇が辺りを包むまで
そのままオビ=ワンの部屋にとどまっていました―――。
昨日の夜のせいで、身体のだるいオビ=ワンと
もとより急いで起きる気のないアナキンの二人は、
家の人々が活動を始めた気配を感じながらも、そのままぐずぐずと布団の中にいました。
しばらくすると、オビ=ワンの部屋に誰かが近づいてくる気配がします。
こんなところを見つかったら、大変だと思ったオビ=ワンがアナキンを隠そうとしますが、
アナキンは別に見られて困ることはない、と笑って取り合いません。
そうこうしてる内に、部屋の戸が開きました。
「ピーーピッピ!」
そう言って元気良く入ってきたR2は、手に朝食の御膳を持っています。
花嫁の家が花婿に朝食を出すしきたりのため、
無理をして手に入れてきてくれたのです。
「ありがとう、R2・・。」
花嫁という立場を信じることが未だできないオビ=ワンでしたが、
R2の気遣いが素直に嬉しくて、その御膳を受け取りました―――。
朝食を食べた後も、取り留めのないことを語りながら一日中、
布団のなかにいた二人でしたが辺りが薄暗くなって来た頃、
「落窪!落窪はいるかいっ!」
そう言った怒鳴り声と共に足跡が近づいてきました。
北の方の声です。
今度こそ見つかるわけには行きません。
「落窪って・・?」
そう言って不思議そうにしているアナキンに向き直り、
「もう、外も暗くなってきたのだから家に帰って。」
そう言うと、
「急にどうしたっていうの?」
ちょっと傷ついたように尋ねてきます。その様子に心が痛みましたが、
「いいから。お願いだから帰って!」
更に、強い口調で哀願するように再び言うと、
「わかしました。今晩は宮廷に参内しなくてはならないから、会いにはこれないけれど
手紙を出します。」
言いながらオビ=ワンをもう一度抱きしめ立ち上がると庭へ消えていきました。
アナキンが消えたのとほぼ同時に、北の方が戸を開け入って来ました。
「落窪!なんだい、ぜんぜん縫いあがってないじゃないか!!」
「すみません、今日は体調が悪くてふせっていまして・・・」
「お前がずうずうしくそんなことで、寝ていられる立場だと思っているのかいっ!?
母親のいないお前を親切に養ってやっているっていうのに!」
「・・・もうしわけありません」
「こんな恩知らずな娘だったとは・・!
いいかい、今度進んでいなかったら、北の蔵舎にとじこめるからね!」
そういい捨てるとプリプリ怒りながら部屋を出て行きました。
北の方が来たことによってオビ=ワンは夢から覚めたような気持ちになりました。
やはり、アナキンが自分のことを好きだなんてあるわけはない、と
新たに思いなおしたオビ=ワンは、だるい身体に鞭打って縫い物に向かうのでした――。
オビ=ワンの部屋を出た北の方は、
部屋に入った瞬間にちらりと見えた人影は誰であろうかと考えていました。
そういえば、部屋の様子もずいぶん変わっていました。
家具も増え、香も焚かれていました。
オビ=ワン自身も美しい着物は全て取り上げたはずなのに、
見た事のない美しい着物を着ていました。
オビ=ワン自身が美しいことは、北の方も嫌というほどにわかっていました。
そこから導き出される答えは一つです。
「落窪め、さては男ができたね・・。」
そうとわかったら放置しておくわけにはいきません。
その男のせいで、万が一にでも落窪の身分が上がったら癪に障ります。
北の方は、落窪とその男を引き離すための算段を考え始めました―――。
最後までやらずじまい・・。あははは。
気持ちが通じたらやろうかな。
あ、北の方にばれました〜。これから妨害工作必死です。
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