アナキンの腕の中にいるうちに、次第に涙も止まり落ち着きを取り戻してきた
オビ=ワンは、もはやアナキンに何も隠すことがなくなった今ばれる以前より気持ち
にゆとりを持つことができました。
そこで気分が落ち着くと、アナキンの腕の中から抜け出し、縫い物を再開すること
にしました。どうあってもやらなくてはいけないことですから、少しでも進めようと思っ
たのです。
そんなオビ=ワンの姿を見たアナキンは
「あんなこと言われてもまだ仕事をするなんて、あなたらしいや・・・」
半ば呆れた視線を送ります。
「やらずにすますなんてことはできないからね。それより昨日中納言の言ってた、
四の君とのことはどうするんだい?」
アナキンの言葉を流しつつも、不安げな瞳で問いかけてくるオビ=ワンに
「そんな顔しなくても大丈夫だって言ってるのに・・・。四の君の件は放って置きます
よ。向こうがどんなに準備しようが僕にその気がなければどうしようもないことですか
らね。ああでも、あなたを弁少将がどこかへ囲ったりしたら、公然と婿になります
よ。」
最後は少し拗ねた口調になります。
「・・・私が囲われるなんてあるわけないだろう。」
「早くあなたをお嫁さんにもらいたいですよ。そうしたらこんな心配しなくて良くなるの
に・・・」
「・・・私だって・・・」
「私だって?」
「・・・早く此処を出たいよ。」
「それだけですか?」
「・・・・・・・・・。」
「オビ=ワン?」
「・・・・・・アナキンと暮らせると思うから・・・」
そう小さな声で付け足された台詞に満足して、再びオビ=ワンを抱きしめるアナキン
と、真っ赤になってそっぽを向くオビ=ワンなのでした―――。
その後アナキンになんとか離してもらったオビ=ワンは再び縫い物を再開しました
が、困ったことに着物に必要な折り目を一人では上手く付けることができません。
いつもならR2に手伝ってもらうのですが、もう夜も更けています。
オビ=ワンがどうしようか迷っていると
「どうしたんですか?」
そんなオビ=ワンの様子に気が付いたアナキンが声を掛けてきました。
「着物の折り目を上手く付けられなくて・・・。R2を起こそうか考えてたんだ。」
「なんだ。そんなことなら僕が手伝いますよ。」
そう言って器用に手伝います。その手助けによって簡単に折り目を付けることがで
きました。
「意外と器用なんだな・・・。」
心の底から感心したように言うオビ=ワンに
「できる男ですからね。僕は。」
アナキンは片目をつぶってみせます。その仕草に一瞬目を丸くしたオビ=ワンでし
たが、茶目っ気たっぷりに
「そうみたいだな。頼りにしてるよ。」
と返します。
「ええ。是非頼りにしてください。あなたの要望にならなんでも答えますよ。昼でも、も
ちろん夜でもね。」
そう言いわれ瞳をのぞき込まれます。
その芝居がかった仕草にとうとう耐えきれなくなった二人は心ゆくまで笑い合ったの
でした―――。
* * * * *
その頃北の方は、最近特に仕事の遅いオビ=ワンがまたさぼっているのではない
かと考え、その仕事ぶりを監視にこっそりとやって来ていました。
そのときリキは留守で、丁度はしゃぎ笑い合っていた二人はそのことに気が付きま
せん。
気付かれないままこっそり廊下の陰から部屋をうかがった北の方は、予想していた
通りの男の存在に、やはりという思いがわき上がります。
大殿に報告して今度こそしっかりと叱ってもらおうと考え、その場を立ち去ろうとしま
したが、その男の姿を見たいと言う欲求を抑えることができません。
北の方は、好奇心のおもむくまま、その男の顔が見える距離まで近づいていくので
した―――。
笑い合う二人の声が聞こえる距離まで近づいた北の方は驚きました。
どこの男かはわかりませんが、はっと息を飲むいい男です。容姿や気品どれも蔵人
少将よりはるかに勝っており、身分も高そうです。
そして驚きに固まっている北の方の耳に二人の会話が入ってきます。
「オビ=ワン、疲れましたね。もう止めて明日にしましょうよ。北の方にはいつものよ
うに怒らせておけばいいよ。」
「でも・・・。」
「いいから、いいから。」
「まだ片付けてもいないのに。」
「どうせ明日もやるんでしょう?その辺にでも引っかけて置けばいいですよ。」
その会話に北の方は怒り狂いました。自分のことをいつもこんな風に話しているかと
思うと、はらわたが煮えくりかえるようです。
このまま大殿をたたき起こして言いつけてやろうと、鼻息あらく部屋から遠ざかりまし
たが、途中で足を止めました。
男の容姿は立派だし、もし身分が高いようなら大殿ドゥークーは喜んで結婚させて
しまうに違いありません。
そんなことは絶対にさせないと心に決めた北の方は、C3POとでも関係しているとご
まかして言うことに決めました。
その上でふしだらな娘だと言ってどこかに閉じこめれば良いのです。
閉じこめた後で、還暦を過ぎても尚女好きで貧乏な北の方の叔父、典薬助グリーヴ
ァスを押しつけようと考えました。
明日の朝一でその旨を夫に伝えることを決めた北の方は、自室に悠々と引き上げ
ていきました―――。
* * * * *
次の日の朝早く、アナキンは宮廷に参内するため、一度屋敷に戻りました。その別
れ際、
「ではまた。オビ=ワン。次逢う時は、妻として僕といっしょに来てください。」
そう言って手の甲に口付けます。
その仕草に頬染めつつも、オビ=ワンはしっかりとうなずき、アナキンを送りだした
のでした―――。
北の方張り切るの巻。ここ何回か原作エピを消化中。
原作シーンをアナオビもしくはSW変換。
次回監禁。
続きます・・・。
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