次の日の朝一番にドゥークーのところまでやってきた北の方は、昨晩の計画通りに
報告をします。
「あなた!あなた!
落窪の君がとんでもないことを!
R2と懇意で我が家に出入りしている、使用人のC3POごときと関係ができてしまっ
たのですよ!」
その報告に大殿ドゥークーは表情を険しくします。
「それに蔵人少将は家来が同じ婿など、みっともないし恥ずべき事だもう邸に出入り
させるな、とおっしゃってるそうですよ。」
続けて言われたことに
「・・・ふむ・・・。困ったことだ・・・。」
ただでさえ険しくなっていた顔を、ますます険しくしたドゥークーはうめくように呟きま
す。
「・・・それでどう収めようとと言うのだ?」
北の方に問いかけます。この問いこそを待っていた北の方は
「噂になる前にどこかの部屋に閉じこめては?男と会えないように・・・」
用意していた答えを耳元にささやきかけます。
「よろしい。ふしだらな娘には似合いの処遇だろう!北の雑舎に閉じこめよ!!
見せしめだ!」
その言葉に袖で隠しつつも、ニンマリと笑みを浮かべる北の方なのでした―――。
* * * * *
アナキンのいる日々に慣れてしまっていたオビ=ワンは縫い物を手にしつつもぼん
やりと考え事をしていました。
今までずっと一人で生活してきたはずなのに、ほんの一時包み込む腕がないだけで
寒々しく感じてしまいます。
自分がこんなことを思う日が来るなんて信じられないと思いつつも、一人の人をこん
な風に想える事が嬉しく、気持ちがほっこりとします。
アナキンにもらった着物に包まれながらそんな物思いにふけるのでした―――。
静かな晩秋の昼下がりに、似つかわしくない足音が聞こえてきます。今日は何やら
複数のようです。何か嫌なものを感じたオビ=ワンは日だまりでうたた寝をしていた
リキを起こすと、R2のを呼んでくれるようにと使いを頼みました。
すぐさま庭に飛び降り走り去るリキの姿が見えなくなっていくらも経たない内に、扉が
開けられます。
いつもと違い、北の方の後ろに数人の下男が控えていることに不安がわき上がりま
す。
「オビ=ワン。今日から北の雑舎に移ってもらいます。家来と通じるなど他の子ども
たちの面汚しだと大層大殿はお怒りです。」
静かな北の方の声が信じられないようなことを告げます。
「・・・家来と通じる?私には身に覚えが・・・。」
身に覚えがないことなので、当然オビ=ワンは否定しましたがアナキンのことがある
ため、あまり強い態度には出れません。
「言い訳をするつもりかい?ふん。かまわないから連れてお行き。」
その言葉を鼻でせせら笑った北の方は、下男達に命じてオビ=ワンを連れて行か
せようとします。
そこへR2を連れたリキが戻ってきました。
「ピーーーーーっ!ピピピーーーーっ」
オビ=ワンと下男との間に立ちはだかり、そんな事実はないことを必死に主張しま
す。しかし
「うるさいねっ!お前は私にタテをつこうというのかいっ!そんな者に用はないよっ!
この邸から出てお行きっっ!!」
そう言われ下男にリキ共々放り出されます。
歯を剥き怒り狂ったリキが下男に飛びかかろうとしましたが、なんとかそれをR2は
押さえ込みました。
ここでそんなことをしたらオビ=ワンがどんな目に遭うかわかりません。
そうこうしているうちにオビ=ワンはその言い分も認められず北の雑舎に連れて行
かれてしまいました―――。
* * * * *
北の雑舎に放り込まれ鍵を掛けられたオビ=ワンは辺りを見回してみました。
北の方と下男達はオビ=ワンを閉じこめるとすぐにいなくなりました。
雑舎の中ははしっめて暗く、置いてある酢や酒や干し魚の臭いの入り交じった、長
居はしたくないような場所です。
片隅に座り込んだオビ=ワンは泣くまいと自分の身体を抱きしめました。
アナキンと過ごしていた日々が幻のように感じます。しかしふと握りしめていた着
物に目をやるとそれはアナキンに贈られたものです。
そのことに勇気づけられたオビ=ワンは、アナキンへの思いを支えにこの仕打ちを
耐え抜こうと固く決心するのでした―――。
* * * * *
その頃R2は三の君の取りなしで追放を免れていました。リキは自室にかくまってい
ます。R2自身はこんな邸にまったく未練はないのですが、オビ=ワンが閉じこめら
れている以上、邸内で手引きしたりオビ=ワンに近づけるものも必要です。
そして何よりオビ=ワンにはなんとしてでも北の雑舎から抜け出し、幸せになっても
らわなければなりません。
大急ぎで書いた手紙をリキに持たせるとアナキンの元へ届けるよう送り出し、全速
力で走り去る姿を見送るのでした―――。
北の方ついに実力行使。
次なる刺客?も送り込まれます。
関係ないけどうちのリキは走るの逃げる時のみ速いです(つまり遅い)。
このリキは速めで(笑)。
続きマスです。
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