雑舎の中からフェラスが出ていき、戸に鍵が掛けられると再び中は薄暗がりに戻

りました。

 立て付けがあまり良くないのか、戸の隙間から漏れる光が窓のないこの部屋が暗

闇になるのをやっとのことで防いでいるようです。

 オビ=ワンは手渡された荷物を手に、光が漏れているところまで行きました。その

僅かな光でも、食べ物と一緒に包まれていた手紙を何とか読むことができました。

 一通は忠実なる友R2D2からで、もう一通の美しい筆跡の手紙はアナキンからで

した。どちらの手紙もオビ=ワンのことをひどく心配すると共に、かならず助け出す

からどうかそれまで身体を損なうことのない様に、という旨が書かれています。

 二人の気持ちが嬉しくて手紙をぎゅっと胸に抱きしめると、ふわりと良い薫りがた

だよいます。アナキンからの手紙には彼が愛用している物と同じ香が焚きしめられ

ていてそれが良い薫りをただよわせたのでした。

 アナキンからもらった着物の薫りはもう大分薄くなってきてしまっているので、久し

ぶりにかいだその薫りに、まるで彼が側にいるような気がして嬉しくなりました。

 そしてそのことで勇気づけられたオビ=ワンは食欲はあまりなかったのですが、少

しでも身体に力をつけるため、フェラスが届けてくれた食べ物をゆっくりと食べ始め

ました―――。

 

    *   *   *   *   *

 

 その頃R2はオビ=ワンに無事食べ物と手紙を渡すことができ少しだけ安心して、

次への計画を練っていました。

 すると偶然会った少納言から家の者が賀茂の臨時祭りに出かけるという話を聞き

ました。少納言は以前話していた弁の少将からの手紙をオビ=ワンに渡すために

R2を探していたのですが、そのおかげでR2はまたとない情報を手に入れることが

できたのです。

 家の者が皆出払ったその晩が、オビ=ワンを助け出す、絶好の機会です。

 早速アナキンにそのことを知らせようと、廊下を足早に急いでいたところ、曲がり

角で反対から来た人影に気が付かず、勢いよくぶつかってしまいました。

以外と体重のあるR2はよろけただけでしたが、その人影はR2の体重ののった体

当たりに耐えられず、ひっくり返っています。

 慌てて謝りながら助け起こすと、その人物は激しく咳き込みながら罵倒してきまし

た。

「・・・っ!女童ともあろうものが、ゴホッっ、廊下など走るから・・・ゴフゴフッ・・・・・・

・・・ん?」

しかし、R2の顔をみるなり罵倒がやみます。その人物はしばらくR2を見つめた後

二、三回咳をし、再び口を開きました。

「そなたR2D2だな・・・縁ある者であるからこのことは水に流してやろう。」

恩着せがましく言ったのちに、とんでもないことを付け足しました。

「お主はもうすぐ、グホっ、この儂、典薬助グリーヴァスを大切に思うようになるぞ。」

典薬助といえば、北の方の叔父にあたる人物です。R2はその叔父がなぜそんなこ

とを言うのかわからず怪訝な顔をしました。すると

「北の方がお前の主人である、落窪の君を儂にやる、ゴホホッ、と言っておったから

な。お前は姫付きだろう?ゴフッ」

告げられた言葉の衝撃にR2は言葉も出ません。

グリーヴァスは言葉を無くしているR2にかまうことなくしゃべり続けます。

「今夜ゆくから、ゴホっ、準備を整えておくようにな。」

そう一方的に言うと、北の方との血のつながりを感じさせる足取りで、立ち去ってゆ

きました―――。

 


オビ=ワン貞操狙われ中☆





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