アナキンは白く明るい月の光の中、C3POに教わった姫君の部屋までの抜け道を
通り抜けていました。
通る際に、この抜け道がオビ=ワンと約束している待ち合わせ場所のすぐ近くで
あることに気が付き、ふと気になりましたが、深く考えることはなくそのまま部屋へと
向かいました―――。
アナキンが部屋向かいつつあるその頃、何も知らないオビ=ワンは母の形見である
琴を弾いていました。
澄んだ音色が月夜に響きます。
オビ=ワンの手元に残されたものといえば、この琴と鏡だけでした。他の品物は北
の方がなんだかんだ理由をつけて、持っていってしまったのです。
琴を弾きながらオビ=ワンはやっと書くことのできた手紙の返事のことを考えて
いました。
自分には出家の意志があること、そしてそのための手引きをお願いしたい、
という内容で書いた手紙をR2に昼間のうちに、託してありました。
そんな内容の手紙だとは知らないR2は、オビ=ワンが返事を書いたことに喜んで、
その手紙を受け取っていきました。
右近の少将に、その手紙が届き、願いを聞き届けてもらえばもうアナキンには
会えなくなります。
もしかしたら、明日が最後になるかもしれません。
そのことを考えると眠れないオビ=ワンは、琴を弾き続けていました―――。
アナキンが教えられた部屋に近づくに連れて澄んだ琴の音色が聞こえてきました。
美しくもどこかもの悲しいその音色は、聞いているものの胸を切なくさせました。
アナキンはこんな音色を出せる姫君に軽々しい手紙を出してしまったことを、再度
後悔しながらも、部屋の前まで進み出ました。
月明かりに照らされた部屋の中に、細い背中を見受けることができます。
アナキンは小さく息を吸い込むと、その背中に声をかけました。
「こんばんは。夜分に突然すみません。私はあなたに手紙を差し上げた右近の少将
というものです。軽々しい手紙を差し上げてしまったお詫びを申し上げにきました。
お返事がいただけず、直接きたことをお許し下さい。」
オビ=ワンは思わず呼吸が止まるほど驚きました。
今までずっと考えていた人物の声が突然と聞こえたのです。
そして同時に右近の少将がアナキンだという事実に、目の前が真っ暗になるほどの
衝撃も受けていました。
アナキンの結婚相手を知ることは、あれほど耐えられないだろうと思っていたのに、
自分はアナキンの結婚相手の衣装を縫っていたのです。
胸がつぶれそうに苦しく、声が震えそうになるのを必死に耐えながら、
なんとか声を絞り出しました。
「お詫びだなんて・・・。こんな私を気にかけてくださったことだけでも、
私には嬉しかったのですから、どうか気になさらないで下さい。お手紙のお返事を
出せずにいたことには、むしろこちらがお詫びしなくては。昼間やっと出せたのです
が行き違いになってしまったようですね。」
静かに話す声を聞いたアナキンも、衝撃を隠せませんでした。
自分がまさに恋いこがれている相手の声が聞こえてきたのです。
静かな声はなおも話し続けます。
「好きな人ができたのは大変喜ばしいことだと思います。
どうかその方と幸せになってください。
そして図々しいお願いなのですが、手紙にも書いたとおりできたら
出家の手引きをしていただきたいのです。面倒だとは思いま・・」
「オビ=ワン!!あなたオビ=ワンでしょう!?」
アナキンは思わず話を遮って呼びかけていました。
呼びかけられたオビ=ワンはゆっくりとふり返り、
「うん。アナキン。あなたが右近の少将だったんだね。」
驚きをあらわににしているアナキンとは対照的に、
変わらぬ静かな声で答えるのでした―――。
お互い正体に気が付きましたヨ。
中途半端ですが続きます(汗)。
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